コラム > 2017年8月

「『アマゾン・エフェクト』は日本でも起こるのか?」

(2017年8月31日)

米国で「アマゾン・エフェクト」という現象が起きているのをご存知だろうか?

ネット通販の巨人、アマゾン・ドット・コムの攻勢の影響により、業績や株価の低迷、不振にあえぐ企業が増えていることを指し、「アマゾンが全てを飲み込む」といった意味合いで使われている。実際、JCペニーやメーシーズなどの百貨店を筆頭に、食品スーパー、ドラッグストア、スポーツ用品販売など多方面に影響が拡大している。

今後、実験中のレジなしコンビニ店舗(アマゾンゴー)や生鮮食品を扱うドライブスルー店舗(アマゾンフレッシュ・ピックアップ)、また、先に買収した高級食料品スーパーのホールフーズなどリアル店舗の本格的な事業展開が始まり、ネット通販事業との相乗効果が目に見えて表れてくるようになれば、「アマゾン・エフェクト」は米産業界にとってさらに深刻なものとなる可能性がある。

では、日本でも「アマゾン・エフェクト」は起こるのだろうか?

アマゾン・ジャパンの売上高は約1.2兆円(2016年12月期)に達し、物流拠点の整備も着々と進んでいる。ネット通販事業では老舗の楽天やYAHOO!との差を着実に広げつつある。また、今年4月には生鮮・食品の宅配サービス(アマゾンフレッシュ)がスタートし、日本の食品スーパーやコンビニなどの領域まで手を広げ始めている。

このままでいくと、米国と同じように、日本もアマゾンが進出する業界は全て飲み込まれてしまうのではないか、という懸念の声が当然のように上がってくるだろう。

確かにアマゾンは便利である。品物は何でも揃うし、注文すれば当日か翌日には手元に届く。
会員制サービス(アマゾンプライム)を利用すれば、別料金はかかるが注文から1時間で届けてもらうこともできる。品揃えや宅配スピードは重要な購買決定要因である。合理性や利便性を最重視する消費者はもちろん日本にも多数おり、日本でも毎年2割近くの伸び率で売上を伸ばしてきた実績につながっている。高齢化や働く女性の増加を背景に、生鮮・食品の宅配サービスも徐々に増加していくだろう。

しかし、アマゾンが拡大を続ける中でも、日本の逞しい業態は生き残っていくのではないだろうか?

例えば、北海道を地盤に1,183店舗(2017年7月現在)を展開するコンビニエンスストアの「セイコーマート」は、顧客満足度調査(サービス産業生産性協議会)で、あの「セブンイレブン」を抑え、2年連続で1位となるなど、顧客のハートをガッチリつかんでいる。
セイコーマートの特長は、店舗内で調理する惣菜や、北海道産の食材を使って自社生産したオリジナル商品、そして顧客ロイヤリティの高さにあると言われているが、まさにアマゾンでは実現が難しい部分で強みを発揮している。

日本で米国のような「アマゾン・エフェクト」が起こるのか、その答えは消費者の今後の判断を待つしかないが、やはりアマゾンの一人勝ちでは面白くない。生活者に支持される活力ある業態が今後も生まれ続け、消費の現場に活気を与えてくれることを期待したい。

岡道裕(株式会社テクノアソシエーツ マネージャー)

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