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「電気自動車普及の転換点 / アンケート結果から」

(2017年10月31日)

先月のコラムで、「電気自動車(EV)(PHEV含む)は、いつ頃までに日本で一般に広く普及すると思いますか?」というアンケートを取らせていただいた。

予想以上に多くの回答が寄せられ、本件への関心の高さが窺えた。お約束通り、アンケート結果をご報告したい。

質問への回答の比率は、2020年代まで=7.7%、2030年代まで=35.9%、2040年代まで=35.9%、2050年代以降=12.8%、電気自動車が広く普及する時代はやってこない=7.7%であった。2030年代と2040年代との回答を合わせると70%超と太宗を占めた。

コラム筆者は、「遅くとも2050年代までにクルマのパワートレインは電動化されたものが主流になるのではないか」と書いたので、読者の皆さんはそれより早く普及すると考えているようだ。

読者から寄せられたコメントをご紹介したい。

欧州や中国が国策でEVにシフトしようとしているのに対して、日本は既存の産業が大きいことから、政府も企業もEV対応が遅れているという意見が多い。「日本での普及は2050年代以降だが、世界的にはもっと早い」との意見や、なかには日本がEV後進国になることを危惧する声もあった。

もちろん、「自動車産業の盛んな日本が他国に遅れるようなことはないと考える」、「日本人は環境問題に敏感でかつ流されやすい民族なので、自動車メーカーがHVやPHEVの延長上にEVを提案していけば広がっていくと思う」、「現時点は日本の対応は鈍感だが、欧州や中国で転換が進むにつれ、あるときに一気に加速する」との意見も見られた。純粋なEVよりも、化石燃料も使うPHEVの占める割合が他国よりも大きくなるかたちで普及していくとの予想もあった。

個人的には、EV普及が2030年代なのか2040年代なのかを当てることよりも、普及を促す重要要因は何か、を考えることが大切だと思っている。この見定め方が正しければ、それを定点観測することで、普及が近いのか、まだまだ先なのかを予想できる。

この点について、読者からの指摘が最も多かったのは、やはり電池の性能向上(航続距離、充電時間ほか)の問題である。航続距離が400-500qに伸びたと言われているが、実際の公道は試験の時とは環境が違うので、メーカー発表の航続距離は割り引いて考える必要がある。

また、「充電を重ねることにより電池の劣化が起き、数年で高価な電池を買い替えなくてはいけないのではないか」という懸念が払拭されていないとの意見があった。電池に対する懸念は、現在のEVが使われていくなかで性能を証明していくしかなく、時間の掛かる問題であり、またメーカー側の保証やアフターサービスの姿勢でも変わってくるだろう。

電池の性能とほぼ同数の指摘があったのは、充電インフラの問題である。「充電ステーションは誰が整備するのか」、「マンションなどでは充電できないがどうするのか」、「多くのクルマが充電するのに十分な発電量が確保できるのか」といった指摘があった。

確かにガソリンスタンドを充電ステーションに転換すれば済むという単純な問題ではなかろう。一方で、ガソリンスタンドが減少しており、今後「ガソリンスタンド難民」が増え、EV購入が促進されることもあろう。

尚、少数ながら、「EVの環境面での優位性が、単にガソリンを使用しないということではなく、発電燃料(石炭・石油・LNG等)も考慮したライフサイクルCO2排出量で優位であることが広く理解されることが必要」との意見もあったことをご紹介しておきたい。

多くの回答をいただいたこと、御礼申し上げる。


水野豊(株式会社テクノアソシエーツ ヴァイスプレジデント)

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