コラム > 2018年5月

「『兆し』、とらえていますか?」

(2018年5月31日)

世の中が目まぐるしく移り変わる中、「兆し」をとらえる重要性が増している。

不確実性が高く、変化が非常に激しい時代に突入した現代、企業にとっても個人にとっても“これからどんな流れがくるのか?”、つまり「兆し」をとらえて先手を打てるかどうかがこれまで以上に問われている。

テレビ東京系列の経済トレンドを追うドキュメンタリー番組、「ガイアの夜明け」の元プロデューサーで、『兆しをとらえる 報道プロデューサーの先読み力』(角川新書、2016年)の著者、野口雄史氏は、番組のテーマ選定は新聞が最大のネタ元だったと明かしている。ちょっとした記事も、その事象の背景、本質的な問題点、全体に通じる普遍性、そしてそこからどんなメッセージを込められるのか、を考えながらじっくり読み、テーマを決めたそうだ。

「兆し」はどのようにとらえれば良いのだろうか?野口氏のやり方からも学べるように、日々起こる様々な現象を「時代のトレンド」と照らし合わせ、その意味合いを読み取ることが正攻法と言えるだろう。

今、時代トレンドとして外せないのは、一つは言うまでもなく“デジタル化”である。IoT、ビッグデータ、人工知能(AI)、ロボットやそれらを活用するICT基盤などの技術革新のスピードは目覚ましく、あらゆる産業や生活に変革をもたらしている。

東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年までには、次世代モバイルネットワークと言われる5Gも順次導入される見通しで、超高速・大容量・多数同時接続のデータ通信環境が実現すれば、より生産性の高い仕事が可能となり、また快適な生活が送れるようになるだろう。

外せないトレンドのもう一つは“循環型社会への対応”であろうか。地球規模での人口・資源・環境問題の観点から、新たな社会や経済モデルの必要性が高まり、ESG(環境・社会・ガバナンス)投資や企業のSDGs(持続可能な開発目標)への取組みが大きな流れとなって浸透しつつある。また、モノ、空間、スキル、移動、お金などの遊休資産を共有するシェアリングエコノミーも、私たちの生活の中で確実に存在感を増している。これらの動きの先にあるものを、どのような視点をもって見ていくかが、今後「兆し」をとらえる上では重要なのではないだろうか。

現象と時代トレンドを結び付け、「兆し」として炙り出す。なかなか難しいことのように思えるが、「ガイアの夜明け」が無名の一般人の日常を取材し、視聴者がその現場の問題点や挑戦に自分を重ねて共感したように、「兆し」は案外身近なところに顔を出すのかもしれない。肩肘張らずにうまく「兆し」をとらえるようになりたいものだ。


岡道裕(株式会社テクノアソシエーツ マネージャー)

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